内田 諭（うちだ さとし）

高周波駆動マイクロプラズマアレイのシミュレーション，分子性マイクロプラズマ中の放電特性の数値解析：　マイクロオーダーの微小空間中における放電現象、すなわち，マイクロプラズマは様々な応用展開を予感させる大変面白い現象です。すでに，プラズマディスプレイといった形で商品化もされていますが，まだまだ未知なる部分が多く残されています。特に，マイクロプラズマの生成機構や放電構造を詳細に解明していくことが工学的に重要です。我々の研究室では数値シミュレーションを用いて，放電物理や放電化学の観点から，理論的にマイクロプラズマの”真相”へ迫ります。

誘電泳動システムによる細菌の高速検出，誘電泳動力を用いた微粒子操作，誘電泳動と光学計測を組合わせた酵母の代謝活性モニタリング：　電荷を帯びていない粒子であっても電界勾配があれば動かすことが出来ます。これは，誘電泳動という動電現象を利用するものであり，マイクロ領域では大きな力となって，粒子の挙動に影響を与えます。当研究室では，効率的な微生物捕集・濃縮を目的として，立体型誘電泳動デバイスの開発を行っています。また，誘電泳動と光学計測を組合わせて，細菌やウイルスを捕獲した状態のまま検出する方法や，生物的操作を用いずに代謝活性を評価する方法など様々な新技術を提案しています。

極微小場を用いた電界パルス殺菌，高周波電界パルスによる遺伝子操作，プラズマ照射による膜構造変化のシミュレーション：　極微小粒子である微生物に高電界パルスを印加したり，局所的にプラズマを照射したりすると，膜構造や各遺伝子に対して選択的かつ直接的にエネルギーを伝達できることがわかってきています。当研究室ではマイクロ反応場を利用して，微生物に種々の電気的刺激を効率的に作用させる手法を検討しています。将来的には，電圧印加による物理的操作のみで微生物の遺伝子発現を制御し，様々な代謝機能を自由自在に操れるようになることを目指しています。